考案
強皮症では手指皮膚組織に多数のマスト細胞を認め、抗Scl-70抗体陽性、間質性肺炎合併症例や肺高血圧症合併症例ではさらに多数のマスト細胞を認めた。機能としては、線維化に関しては、これまで、線維芽細胞やマクロファージが産生するとされていたTGF-βやPDGFをマスト細胞が産生し、また、肺高血圧症に関しては、serotonin(5-HT)を産生し関与していることが示唆される。
近年、Imatinibが強皮症の皮膚線維化だけでなく、間質性肺炎や肺高血圧症に対して有効であると報告されているが、その作用機序としては、c-Abl活性制御を介したTGF-β抑制やPDGF-R抑制によるとされている。しかし、今回の結果より、強皮症に対するImatinibの標的細胞として、マスト細胞がさらに上流に位置する可能性が示唆された。
Future plan
①蛍光抗体法(c-kit、5-HT、TGF、PDGF):
手指皮膚組織や剖検肺組織におけるc-kitと5-HT、TGF、PDGFでの二重染色、可能であれば三重染色。
②ELISA(5-HT):
保存血清を用いて、5-HTをELISAで測定。Non-SSc、PH非合併SSc、PH合併SScで5-HT濃度に相違があるか検討。また、5-HT濃度と手指
マスト細胞数に相関があるか検討。
③肺組織のcontrol:
PH、IP合併SScの肺組織の肺動脈周囲にマスト細胞が多数認めたが、PHやIPを合併しない肺組織でのマスト細胞数を確認する。
④論文作成
これまでの結果で論文作成。①、②の結果が追加出来そうであればfigureを追加する。